定価1,320円(税込)
渡辺良・著 四六判 並製 224ページ
2022年5月19日発行
それぞれの患者の生活を見つめ人生観・死生観に寄り添う在宅診療。
日々の臨床のあとに残る思いを綴った町医者のエッセイ。
一人ひとりすべて異なる人生の最終章の時間を共にすることを通して人の生き方の多様さと深さについて学んでいます。僕自身高齢者となり、若い頃には見えなかった風景が少しは見えるようになりました。(「おわりにかえて」より)
〈もくじ〉
はじめに
物語をつむぐ糸【2016年】
ひとはぼけていないようです/必要なのはガーゼ/てんしのよう/こころの木立/からっぽのワンカップ/安楽と安らぎ/いつかこういう日が来ると/いづこの闇へ/受け皿/たましいの抱擁/てんばつだなんて/それほどのじかん/入所という displacement(強制移動)/ニューノーマル/エンパシー(共感)とは/退屈しないこと/私をつなぐ糸
こころを耕すケア【2017年】
悲しい納得/おわりの美学/孤島へのさいごの往診/あたらしい父/うれしくない/人々のために働く責任/認知症とQOL/怒りと笑い/こころの救急を診るということ/母を看取ったわたしだから/ユニット731/妻を亡くした男たち/クレド/介護をうたう/一通の紹介状/往診は医療の原点/秋の深まる夕暮れには/つらいんです/ワヒード/こころはどこにあるか
犬の名は【2018年】
雪の夜に思うこと/ケアのちから/彼岸の雪/7年目の3・11 ―海の沈黙―/ノブレス・オブリージュ/計画された偶然/そのひとを知るということ/記憶の継承/犬の名は/物語を紡ぐいのち/お餅のようにあつかうな/俳句と拡大コピー/これからのこと/なんのための担当者会議/認知症フレンドリー社会とは
終わりの見えない航海【2019年】
犬も歩けば/にぎわしき孤独/私は悪いひと?/スニーカーの用意を/食事介助の前に/指差し/〈先生転移〉を考える/試練とともに/悲しみを知る医者/「おきなぐさ」のそれから/死ぬまでリハビリ?/臨床の底荷としての精神科/タッチ/社会を処方する/片腕をうしなう/インスパイア/ある安楽死/この町は僕が作ったの/飛び恥/ひきこもれ/はちがつ/認知症早期発見モデル?/ひきこもり再考/「人生会議」(ACP)を考える
コロナとハリネズミ【2020年】
介護 差別 偏見/断食考/老いるとははじめにかえること?/選択はさいごまでオープン/はじめがあるからおわりがある/コロナであってもコロナでなくても/たった1日の重さ/コロナとハリネズミ/ALSと安楽死/真夏のプロフェッショナリズム/You matter because you are you/独りぼっち/ALSの患者の声を聴く/白い病/肩の荷がおりるということ/老いを敬うとは/110歳の仰げばとうとし/やっと笑えるようになりました
ひとりひとり【2021年】
新型のコロナとともに年が明け/アランの方法/世界で最も多く処方されている薬/ほんとうのてがみ/ひとりひとり/私は籠の中の鳥/100歳まで公園の掃除
おわりにかえて
〈著者紹介〉
渡辺 良(わたなべ・りょう)
1949 年 横浜市生まれ
1973 年 慶應義塾大学医学部卒
1974 年 桜ヶ丘保養院勤務
1979 年 横浜市立市民病院勤務
1990 年 英国 Institute of neurology(Queen Square)留学
1992 年 横浜市立市民病院神経内科部長
横浜市立老人リハビリテージョン反愛病院院長
2000 年 渡邊醤院 開院