定価1,760円(税込)
細井聖・著 四六判 並製 232ページ(絵画21点カラー収載)
2022年3月30日発行
明治の横浜、驚きの水彩画はなぜ生まれたか?
幻の画家といわれた笠木治郎吉と、その妻ヨシの生涯を、海外でみつかった作品群と親族の証言を手がかりに描いたノンフィクション・ノベル。
笠木治郎吉(1862〜1921)は、明治から大正にかけての横浜で、日本人の風俗を描いた水彩画家。水彩画といっても、油彩を思わせる濃厚な彩色と、細部まで描きこまれた緻密な表現力で、明治の美術界屈指といわれる作品を残している。それにもかかわらず、永らくその存在が忘れられていたのは、多くの作品が横浜を発つ外国人に土産として買われたことと、作品の下絵などが関東大震災で焼失したことにより、作品が国内に残っていなかったからだった。
笠木治郎吉の作品は、近年、コレクターや親族によって世界各地で発見され、徐々に里帰りしつつある。2021年京都国立近代美術館で開催された、「発見された日本の風景 美しかりし明治への旅」展では、11点の作品が展示され、注目を集めた。
笠木治郎吉ギャラリー:21点カラー収載
資料:治郎吉とヨシの史実年表/笠木和子が、笠木ヨシから聞いた話
解説に代えて:猿渡紀代子(大佛次郎記念館特任研究\員、元横浜美術館学芸員)
<著者紹介>
細井聖(ほそい・きよし)
1955年、神奈川県生まれ。株式会社博報堂で、雑誌「広告」の編集長などを歴任し、現在は原稿執筆に専念。著書に『絵筆のバトン 画廊主・笠木和子の90年』(読書サポート)。妻は笠木治郎吉の孫にあたる。